プラダに学ぶ★時代に合ったブランド戦略と、女心の掴み方

プラダと言えば、ナイロンバッグ!
流行りましたね、90年代始め。
しかし、今尚、最先端のファッションを提案し、系列ブランドミュウミュウと共に、女性の人気をガッチリ掴んで離しません。
そんなプラダの歩みから、ブランディング力までを探ってみました。

プラダブランドのルーツ

▼創業者はプラダ兄弟

プラダというブランドは、1913年にマリオ・プラダとフラテッリ・プラダ兄弟がイタリア、ミラノに皮革製品の店をオープンさせるのが始まりです。

世界中から質の高い品質の皮を仕入れ、上等な製品を作ったことで王室御用達の店にまでなりました。

しかし、創業者が亡くなり、娘が継いだもののうまく行かず、長く低迷期が続くことに。。。

▼救世主は孫娘

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出典先:http://ameblo.jp/alex-venezia/entry-11306003995.html

1978年にマリオ・プラダの孫娘、ミウッチャ・プラダがブランドを継承。
デザインも彼女が行うこととなる。
ミウッチャは勉強も出来る女性で、社会学部政治学科で博士号を取得している。

デザイナーとしては、それまでにない、革新的な素材の使い方で世界中で大ブームを起こす。それは、祖父、マリオが旅行用バッグに使っていた素材で、工業用の防水ナイロン素材「ポコノ」を使ったものだった。

「彼女ほど、女性の内面を表現できるデザイナーはいない」と、評された。と、いうのも、仕事もバリバリこなす現代女性は、軽くて丈夫で、上品なバッグを求めていたのだ。そんな女心を掴んだミウッチャ・プラダ。機能的でシンプルなデザインでプラダブランドを再び一流ブランドにのし上げた。

▼バックパック(ナイロン+オーストリッチレザー)475,200円
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※写真はPRADA公式サイトで現在発売されているナイロンバッグです。
出典先:http://www.prada.com/ja/JP/e-store/woman/handbags/backpacks/product/1BZ811_2EX8_F0002_V_OOO.html

時代に合った経営戦略

★バッグだけでなく、アパレルにも参戦

軽くて丈夫なナイロンバッグで復活を遂げたプラダ。その流れでリュックや新しいタイプのバッグを次々に発表。ヒットを飛ばしていく。さらに1985年にはシューズ、1988年にはレディースウェアを発表した。

★プラダのもうひとつのブランドで若い女性のハートをがっちり!

1993年の春夏コレクションから、ミュウミュウ(miu miu)を発表。
このブランドの名前はミウッチャの幼少時代のニックネームがそのままブランドになったもの。

プラダブランドは違うコンセプト、表現をしたかったミウッチャのスタイルがミュウミュウでは表されています。シンプルで上品な現代女性のイメージのプラダに対し、ミュウミュウでは官能的でモダン、強い個性を表現。予想外な組み合わせの素材感であったり、遊びを取り入れたデザインが多い。プラダの購買層より若い世代の女性に人気のブランドになっている。

▼MIU MIU (ミュウミュウ)2015-16秋冬プレタポルテコレクション
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出典先:http://www.vogue.co.jp/collection/brand/Miu-Miu/15aw-rtw/page/2

▼MIU MIU (ミュウミュウ)2016春夏プレタポルテコレクション
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出典先:http://www.vogue.co.jp/collection/brand/miu-miu/16ss-rtw

★考えられた買収と縮小

1990年代、プラダは財政難にあえぐフェンディや、ヘルムートラング、ジルサンダー、チャーチ他、かなりのブランドを次々に買収。プラダグループを拡大した。

しかし、時代を読み、90年代後半にはそれらかなりのブランドを手放し、一転縮小路線へ。自社ブランドを中心に製品のクオリティを高め、ブランドイメージをアップすることに注力した。結果、コレクションなどでもそのデザイン性に高い評価を得た。

“野心の怪物”とも言われていたミウッチャ。
時代を読んだ経営で、ブランドの地位をキープし続けている。

女心だけじゃない!
中国人の心もガッチリ!限定アイテム

★旧正月をターゲット

申年の、今年限定の縁起物アイテムで、中国の旧正月の縁起物でもある
「さるあか」モチーフコレクションを発表しています。
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th_PRADA_saru2
出典先:http://harpersbazaar.jp/news/prada-chinese-new-year-capsule-collection-160127

中国の方は、赤い色は縁起の良い色とし、大人気。
さらに申モチーフも大人気なのです。これに目を付けたところがミウッチャの経営者としての力。箱までさるあかカラーという徹底ぶりです。

ミウッチャのデザインの秘密

★テーマは決めない!その心は?

雑誌のインタビューでこんなことをミウッチャは言っています。
「最初にコレクションのテーマは決めないの」
では、どうやって決めていくのでしょうか?

「メンズをテーマにスタートし→グラフィカル、シンプル→グラフィカルだけどフェミニン→ベーシックな花柄」ここまで来たら、次の作業はどんな女性に着て欲しいかイメージすること。

小説で言えば、キャラクター設定のようなもので、性格はどんなか?例えば「自制心があり、何事にも慎重な性格で控えめ」→そこから「日本人女性」をイメージし、このコレクションは「ジャポニズム」が最終テーマに決まったという。

基本的に一ヶ月でコレクションの準備をするというミウッチャ。フィッティングを始める最後の2日くらいの間でテーマを決めることが多いという。コレクション発表ギリギリまで、自分のやりたい表現を決めないことは、そのコレクションが発表する時代や、デザイナーの「その時に表現したい気分」を新鮮に表すことになるのではないのでしょうか。

★時代(今の気分)を緻密に分析する力

引き続き、雑誌のインタビューで話していたことですが、

2013年の春夏コレクションで発表したファーが大ヒットしたことについて、こんな話をしていました。
th_PRADA_2013ss
出典先:http://www.vogue.co.jp/collection/brand/prada/13ss-rtw/page/2

春夏にファーなんて、季節外れなのに、なぜそれを提案したか?
それはフェミニンさをわざと過剰に表現したかったから。

ミウッチャどう思っていたかと言うと、「現代女性は今、昔の女性のようなパワーが感じられない」。なので、女性が昔から根本的に持っているものを失わないようにしようとしている。もっと具体的に言うと「男性をおだてて、手の上で転がすようなこと」。

ミウッチャがこのように分析し、それをファッションの表現として表して大ヒットとなっているということは、これは現代女性が求めていることと、イコールってことなんでしょう。

ヒットの影にこんな緻密な分析をし、それをデザインに見事に落とし込んでいることが驚きでした。

2013~14年の秋冬コレクションでは、自由で人間味あふれるものを…と、春夏とは正反対の、自堕落な雰囲気を持つものをテーマにした。例えば刺繍のドレスにクラシックなファーといったわざとタブーを犯すようなデザインを取り入れた。
th_PRADA_2013aw
出典先:http://www.vogue.co.jp/collection/brand/prada/13aw-rtw/page/3

今までミニマルと言われていたプラダのデザイン。
それは彼女が目指したものではなかった。時代に沿った表現が、ミニマルと評されただけだったのだ。

そして、最近のミウッチャのデザインは、殻を破るデザイン。
ダメと言われるものを敢えてやるような、挑戦者。

実は彼女はファーが嫌いで自分では着ないという。
毛皮がタブーという風潮もある。
毛皮に抗議するのに、Tシャツに毛皮禁止というのは安易。
ファーは嫌いでも、世間は”自然に良くないことを沢山やってきている”その中で、ファーだけを問題視するのは「偽善」だと。

その心は、上辺だけでなく、事実を知る努力をしなければ本当の問題解決にはならないとことを言いたかったようだ。
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出典先:http://ameblo.jp/maruka77/entry-11890943449.html

★常に「今」という時代を表現するセンス

ファッション雑誌の編集長は、今年、プラダをこんな風に賞賛しています。
「デザイナーの、発想は、勿論のこと、スタイリングも秀逸だ」と。

最近の異素材ミックス、意表をつく組み合わせ。そんなことはもう当たり前のなんでもありの時代。そこで、どう他と差をつけるか?

それはスタイリングにかかっていると言う。

「今っぽさ」これが重要キーワード。
この点、プラダのコレクションは、360度、どこから見ても見応えがあるという。

それは様々な国の、色々なパーソナリティーの女性像がmixされているからで、まるで服飾の博物館のような様相だとか。
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出典先:https://www.wwdjapan.com/focus/column/collection/2016-02-28/13909

プラダのショー会場が翌日展示会になり、近くで見ることができたようです。

★注目のコルセットファッションも取り入れています

前回の記事でも特集した「コルセット」。
プラダでも取り入れていました!自由であり、力強く、男性社会で戦う女性像。
まさに、プラダが目指す女性像だと感じました。

▼PRADA(プラダ)2016-17awミラノコレクション
th_PRADA_2016-17aw
出典先:https://www.wwdjapan.com/collection/look/prada/2016-17-fw-milan-collection/

プラダの今までとこれからと

★プラダの歴史がわかる公式サイトのアーカイブ

プラダ好きな方なら知っているかも知れませんが、
今、公式サイトでは、プラダの歴史がわかるアーカイブページが誰でも見られるようになっています。なんと、1978年のコレクションから見られるんです!
ファッションに興味ある方、必見です!!
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プラダ公式サイト:http://www.prada.com/en/a-future-archive/prada-universe.html

★ミウッチャ・プラダのこれからにも期待!

祖父の創業したブランド「プラダ」を再建し、長い時間トップデザイナーとして、経営者として君臨し続けるミウッチャ・プラダ。

時代に合ったデザインは、その時代を闊歩する女性の心を分析した結果が作り出すもの。

でもそれだけじゃない。最近のミウッチャは嫌いなファーを敢えて取り入れる「禁断」さにも挑戦している。

次の「禁断」のテーマは何なのか?

大御所デザイナーなのに、いつまでも挑戦の気持ちを失わない。
これが輝き続け、女性を引きつける、プラダのデザインの源なのかもしれない。
ミウッチャプラダその人こそ、きっと現代の女性の写し鏡なのだと思った。

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