エルメスのスカーフ★フランスのエスプリ詰まったカレ物語

スカーフと言えば、フランスの老舗ブランド
エルメス (Hermès) を思い浮かべる方が多いと思います。

エルメスとは?

元々馬具工房から出発したエルメスは、自動車社会を見越して、
鞄や革製品の事業で成功したファッションブランド。

1923年にバッグに初めてファスナーを使用したのはエルメスなんです。
機能的な大発明!

ケリーバッグ、バーキンなど高級で美しいバッグで有名なブランドですが、
スカーフといえば、「エルメス」をおもい浮かべる方も多いのではないでしょうか。

今回、1937年に登場したエルメスのスカーフ「カレ」に
スポットライトを当ててみようと思います。

参考図書カレ物語(中公文庫)/エスプリ思考(新潮社)》

エルメスのスカーフのはじまり

エルメスのスカーフとして代表的なのが「カレ」。

カレとは、90×90cmの正方形という意味です。
もともと競走馬のレース、ダービーで騎手が着用していた
シルクのブラウスがヒントで生まれました。

4代目社長ロベール・デュマ・エルメス氏時代にシルクスクリーンによる
製造技術を採用。
約80色も使う精密なスカーフを生産できるようになる。

馬具工房からスタートしたエルメスだけあって、その柄には馬や、馬具などが多く、
それが精巧に描かれていて素晴らしい出来。

エルメスの最大のヒット作「ブリッド・ド・ガラ(式典用馬勒)」は、
1957年の発売以降、今も60色近い色違いでプリントされています。
現代はこうなっています。
Brides de Gala Arashi
Brides de Gala Arashi《ブリッド・ドゥ・ガラ・アラシ》
2014年春夏コレクション
素材:シルク 100%
カラー: ブリュット
サイズ: 90×90cm
価格:¥101,520
出典先:http://japan.hermes.com/la-maison-des-carres/carre-twill-100-soie-indigo-brides-de-gala-arashi-brut-55071.html

カレのタイトル

カレのタイトルは絵と同じぐらい大切にされていると、エルメスの5代目社長故ジャン・ルイ・デュマ氏は言っていた。
タイトルは「短く、的確で、輝きがある」ことが求められてるという。

カレのタイトルの一例

  • 木の伝説
  • 魅惑のそよ風
  • 太陽を讃えて
  • 馬のリボン飾り
  • 遊園地
  • ヨーロッパ
  • ペルソナ(仮面)
  • 香水瓶
  • 球形が奏でる音楽
  • メディチのヴィオラ
  • 風の中の祈り
  • タムタムの音に合わせて

アートディレクターは社長

カレは、当時の社長のデュマ氏を核に、才能豊かなデザイナーが
自由に個性を発揮していた。

この5代目社長ジャン・ルイ・デュマ氏。

1987年にエルメスの社長に就任したのだが、
かなりやり手の人物だった。

飛行機で偶然隣になった歌手、
ジェーン・バーキンさんとの会話をきっかけに大人気のバッグ
「バーキン」が誕生したエピソードは今でも語り草だ。

あまり知られてなかったエルメスの躍進

1980年頃まで日本でのエルメスは、一部のお金持ちやファッション通
くらいにしか知られていなかったブランドだった。

この5代目社長が革新的な広告戦略でエルメスを「古く終わった高級ブランド」から
「伝統と独自のスタイルのあるブランド」へと変身させた。

また、この頃から多くのラグジュアリーブランドは大量生産、ライセンス契約による
大量販売でその品質と価値を低下させた。

エルメスはそれとは逆に品質を最優先にし、注文が追いつかなければオーダーをも
ストップさせた。

こういった事から、世間のエルメスブランドへの信頼は揺るぎないものになったのである。
現代では、スカーフやバッグは勿論のこと、エルメスメンズ、財布、なども注目されている。

ジャン・ルイ・デュマ氏はエルメスの社長であり、カレのデザインを最終的に決定する優秀なアートディレクターでもあった。

カレのデザイナー達

カレのデザイナーの経歴は様々

あるデザイナーの経歴は、パリで絵の勉強をしたものの、農家を継いだ男性。
彼は趣味の狩猟、そしてお金にならないタピストリー用の絵を描くことだった。

何故カレのデザイナーになったかというと、たまたま彼の妻の兄弟が彼に黙って
デッサンをエルメスの当時の社長デュマ氏に見せたこと。
デュマ氏は一目見てその絵を気に入り、彼はカレのデザイナーになった。

農業を営むデザイナーの代表作

L'intrus

L’intrus《侵入者》
出典先:http://www.plus-net.co.jp/?p=33166

なんと、約120種類の鳥が名前と共に描かれている。まるで図鑑のように、精巧だ。

エルメスのカレにはデザイナーの名前が小さく書かれている。
デザイナーはあくまでも裏方なのだ。

しかし、珍しく表に出るデザイナーもいる。
アンリー・ドリュー
彼はエルメスの社内にオフィスを持っている唯一のデザイナーだ。

「自分の気に入ったものを作る。」「売れるデザインは考えない」がポリシー。
カレの中のベストセラーのひとつ「金の拍車」はたった10日で仕上げたものだ。

画像を調べてみると、
金の拍車が、現在はこんな形で販売されていました。

Eperon
Eperon d’Or Remix《エプロン・ドール・リミックス》
素材:シルク 100 %
カラー: マリン/ターコイズ/グリーン
サイズ: 20×220 cm
Henri d’Origny によるデザイン
価格:¥45,360
出典先:http://japan.hermes.com/la-maison-des-carres/maxi-twilly-twill-100-soie-20x220cm-eperon-d-or-remix-12-62993.html

アンリーは狩猟や馬をデザインしたものが多いが、狩猟好きな家族のもとに生まれたのが幸いしたらしい。
カレを30枚以上をデザインし、特別注文では札幌オリンピックがテーマのものもある。

カレを盛り立てる人々

スカーフに携わるのはデザイナーだけではない。
いろいろな人がカレを盛り立てている。

ディスプレーデザイナー

ディスプレーデザイナーは、ひとつのカレを12もの色違いを作る。

内装デザイナー

内装デザイナーは、カレを広げて色を比べる、お客様の首に巻き、客と売り子のやりとりがスムーズにいく空間を作る。

広告会社

広告会社社長は、老舗の神秘性を損なうことがなく、現代に蘇らせるをコンセプトに
エルメスの広告を展開。
ジーンズのブルゾンにさりげなくエルメスのカレを巻いた。

これが人々に衝撃を与えた。日常服と高級品の出会い。
この戦略により客層が若返ったと言われている。
若者はこぞって親のタンスからカレを取り出したんだとか!

この広告を皮切りに、帽子代わりに無造作に頭部を巻くカレ。
スキー姿の女性がマフラーのように首に巻くカレ。
砂漠に立つ小麦色の肌に巻かれるカレ。

新しいカレの使いたの提案に成功をした。

室内アーティスト

室内アーティストは「シルクが織りなす夢」と題して1996年日本で展覧会を催した。
カレそのものを演出した展覧会だった。

販売員

どのカレにも、物語があり、1枚のカレがひとつのドキュメントである。
なので、カレ売り場の売り子は大変な職業だ。
製品の知識を先輩の売り子から伝授されるのに半年はかかる。

新たなコレクションのたびにデザインに込められた物語、デザイナーのコンセプトを学ぶ。
それに加えお客様に提案するために色のコーディネイトも学ぶという。

カレ結び講師

また、カレ結び講師という仕事もある。

エルメスのスタッフに教えてもらうこともできるが、
今はこんなアプリ”エルメス 《SILK KNOTS》”がある。
無料で利用可能。便利な世の中だ。

デモ動画:http://silkknots.hermes.com/index.php

ダウンロード先:https://itunes.apple.com/jp/app/erumesu-silk-knots/id675298290?mt=8
※動画は限定公開です。期間終了と共に見られない可能性もあります

デザイナーが描くカレのデザインの物語を、様々なプロフェッショナルが
さらに広がりをもたせているのだ。

エルメスの精神

あるエピソードが本に書かれていた。

毎日のように、エルメス本店のウインドウをじっと眺める老婦人がいた。
店員が「どうぞ中へ」と促しても、エルメスが買える身分ではないと遠慮していた女性。

ある日、店員に勧められ、とうとう老婦人は中へと入る。
次々とスカーフを広げると恐縮しながらも大喜び。

後日、エルメスの社長のもとに一通の手紙が届いた。
この本店でのもてなしへの感謝の言葉が綴られていた。
それはあの老婦人からの手紙だった。

社長は本社の販売員を集め、直々にこの手紙を読み上げ、素晴らしい仕事をしてくれたと、販売員達に感謝した。

エルメスというブランドは、販売を拡大することには重きを置いていない。

勿論、ビジネスなので販売は大切だ。
しかし、一番大切にしていることは、人々に喜んでもらうことなのだ。

最新★エルメスのスカーフ

東京都、世田谷区にある二子玉川高島屋のエルメスに行ってみた。

ディスプレーには色とりどりの最新のカレが飾られていた。

このようにカレはファッションアイテムだけでなく、
額などに入れてインテリアアイテム、そう、絵画としての利用価値も高い。

Hermès

A l’Ombre des Boulevards《ブールヴァールの陰から》
2015年春夏コレクション
素材:シルク 100 %
カラー: ローズ・ヴィフ/ヴェール/ブルー
サイズ: 90×90 cm
ヴィルジニー・ジャマン によるデザイン
価格:¥56,160

takashimaya

 

Bateau Fleuri《花咲く帆船》※向かって右のスカーフ
2015年春夏コレクション
素材:シルク 100 %
カラー: ヴィオレ/フューシャ/ターコイズ
サイズ: 90×90 cm
価格:¥56,160

カレではないですが、こういった大判のスカーフもありました。

scarf

Brandebourgs《ブランデンブルク飾り》
2015年春夏コレクション
カシミア 65 % シルク 35 %
サイズ: 140×140 cm
カティ・ラタム によるデザイン
価格:¥158,760

最後にエルメスのスカーフとは?

最後に、エルメスのスカーフと、他のスカーフとでは何が違うか?

本ではこう言っている。

かけている手間ひまが違う。

デザイナーの他にそれを正確に転写する職人、印刷工、カラーリストなど、
無数のプロフェッショナルの手を渡り、やっと1枚のカレが完成する。
トータルで2年もの月日がかかるという。

社長がアートディレクター
社長の目にかなったもののみ、カレとして世に出る。
カレは、スカーフというより、ひとつの文学作品のようなものなのだ。

エルメスのスカーフを見る機会があったら、
ぜひ、じっくりそのストーリーを楽しんでほしい。

FlamingoParty
Flamingo Party《フラミンゴ・パーティ》
素材:シルク100%
サイズ:90×90 cm
価格:¥52,000(税抜)

出典先:http://www.maisonhermes.jp/feature/10598/

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